第29話 閻魔様と補佐三さん
第29話 閻魔様と補佐三さん
「ご乗車、アリガトゴザマス~。お降りの際ハ~、亡者に気を付けてお降りクダサーイ」
真っ赤な空に、骸骨だらけの地面に降り立つと、硫黄っぽい匂いが鼻を衝いた。あんまり出掛けないから分からないけど、本当に知らない土地に旅行に来たみたいでちょっとワクワクだ。まぁ地獄なんだけど。
「地獄近場で良かったな~」うーん、と伸びをするシンさん。「バスって退屈なんだよなー。暇過ぎてにー君を弄り倒すところだったぞ」帰りはシンさんから離れた場所に座ろーっと。
「先輩先輩」砂月ちゃんがツンツンとつついてきた。振り返るとスマフォーンを手渡してきた。「撮影お願いします! あの針山地獄を背景に、愛火さんをこう、良い感じでパシャって頂けたら!」やっぱり取材旅行のアレだよねこれ。
「ラヴファイヤー君を撮れば良いの?」砂月ちゃんが直接撮れば良いのに、と思いながらスマフォーンを構える。「ラヴファイヤーくーん。パシャるよパシャるよー」
「えっ!? いえーい! ぴーすぴーす!」会心の笑顔でダブルピースしてくれるラヴファイヤー君がちょっと可愛い。
「はいパシャ―」撮影ボタンを押して針山地獄を背景にラヴファイヤー君を撮影する。「これで良いの砂月ちゃん?」
「はい……ぐふっ、有り難う御座います、最高です……」砂月ちゃん、俺がラヴファイヤー君を撮影している様子を別のスマフォーンで撮影してて、あぁ~そういう~~ってなったよね。
「師匠~。この骸骨って壊して良いのかにゃ?」つんつんと道端に転がりまくってる骸骨を前足でつついてるニャッツさんだ。「壊したら武器ドロップするかにゃ?」しないと思いますね?
「あー! お前らか! 地獄に旅行しに来たとか言うボケナスは!」
聞き慣れない男の子の声に振り返ると、遠くからドタドタと足音を立てて走り込んで来る、小学二年生ぐらいの男の子の姿が映り込んだ。
頭の上に大きな黒い帽子……コックさんが被ってる縦に長い帽子が真っ黒になったみたいな奴を被ってる、和装の男の子は、膨れっ面で俺を指差してきた。
「お前! お前! お前の祖母ちゃんさぁ! いい加減にしろよな! 早く連れ帰ってくれよ!」
「祖母ちゃん?」連れ帰って良いの??「えぇと、どちら様だろう」
「オレは閻魔だよ! 閻魔ナナオ! 七つの王って書いて、七王(ナナオ)! 憶えとけ! ボケナス!!」閻魔様、こんな幼い子なんだ。「聞いてんのか! 聞けよオレの話~! お前の祖母ちゃんがさぁ!」凄い形相でツバを飛ばしまくってくる~。
「落ち着いてください閻魔様。いきなり過ぎて面食らってます」閻魔様の隣に居た、執事服の、頭の上にツノが二本映えてる、六十代ぐらいに見える、白髪のお爺さんが、閻魔様に耳打ちしてる。声は俺達にも聞こえるぐらいの声量だけど。「――失礼しました。わたくし、閻魔様の補佐をしている、ホササンと言います。補うに、少佐の佐に、数字の三で、補佐三(ホササン)です。お好きにお呼びください」きっちりした動きでお辞儀をして、それから俺に視線を向けた。「二糸亞贄様、ですね? お待ちしておりました、この度は地獄にお越し頂き有り難う御座います。どうぞこちらへ」
閻魔に補佐って居るんだ、と思いながら補佐さんの補佐三……ややこしいな。について行く事になったけど、閻魔様がずっと俺を睨みながら、「チッ、チッ」ってずっと舌打ちするの気になるな~俺そんなに恨まれてるの??
補佐三さんについて地獄を散策する事になったのだけれど、道らしい道は無く、そこら中に骸骨が散らばっていて、全身傷だらけの人達がそこら中で殴り合いの喧嘩をしてて、そこら中に人が倒れてる、無法地帯もここまで酷くないでしょ、って背景がずっと続いていた。
「あの、補佐さん」はーい、と挙手する。「今どこに向かってるんですか?」
「……ふふ、呼び捨てされるとこそばゆいですね」補佐さんが微笑を浮かべてる。補佐三って名前、トラップ過ぎませんか??補佐三さんって呼ばないと伝わらない感じ??「生身の人間が地獄にお越しになるなど前代未聞で御座いまして。本来地獄にお越し頂いた方々が通過儀礼として行うアトラクションを堪能して頂こうかと」遊園地なの??
「ったくよー、オレ達は遊園地のスタッフじゃねーんだぞ! 分かってんのか! ボケナス!!」閻魔様がめっちゃ俺に突っかかってくるぅ~。「おい! 聞いてんのか! おい!」ひぃ~。
「閻魔様、言葉が過ぎますぞ。何よりあの日色様のお客人です。丁重に扱えと通達が有ったのをお忘れですか?」補佐三さんが困った風に閻魔様を振り返る。「めっ、ですぞ」補佐三さんもお茶目で可愛いな。
「うるせー! ボケナス!! オレの仕事終わんねーじゃんかよー! 早く帰って仕事させてくれよー! なぁー! こんなボケナスの相手してねーでよー!!」
「おや、普段はあんなに仕事嫌いな閻魔様が業務を優先したいなどと……それでは普段の倍の業務を用意しておきますね」ニッコリしてる補佐三さんだ。
「え……」閻魔様の顔から色が消えちゃったよ。「う……や、やっぱこいつと居る……」キュっと、俺のシャツの裾を掴むの可愛すぎるよ閻魔様~。
「然様ですか。それではこのまま参りますぞ」
補佐三さん、閻魔様の扱い方が分かりまくってる感じがして、お孫さんを相手にしてる感じなのかなぁ~ってほっこりしちゃった。
「おいボケナス! 今回だけだからな! 仕方ねーから付き合ってやってんだからな! 分かったか!?」
「分かったよ~」ポンポン、と閻魔様の頭を撫でてみる。
「へへ……じゃねーんだよ! 何ッ、頭撫でてんだボケナスー!」一瞬嬉しそうな顔をしたかと思ったらパシィーンッ、と手を振り払われてめちゃんこ睨んでくるの、俺何か目覚めそうだよ。
シンさんがすげー楽しそうにニヤニヤしてるのが見えて、やべー絶対に閻魔様をおもちゃにするつもりだこいつ、などと思ったよね。
🌠後書
約2ヶ月振りの最新話更新です! 大変お待たせ致しましたーッ!
と言うのも、神否荘って新シーズンに入ってからの話数がシンプルに多くて(今回含めて約30話分)、こちらのBlogにお引越しする作業がシンプルに面倒臭くて…w そのうち移転を終わらせたいところですが、ひとまず「地獄旅行編」だけを今はお楽しみください…!w
と言う訳で今回のお話。閻魔様と閻魔様の補佐さん(呼び捨て)と言う新キャラ登場の回となりました! 閻魔様はクッソ生意気な男の子をイメージして綴ってたものの、これ生意気って言うか可愛いのでは…??? と新たな性癖が開花してしまってもうダメです(笑)。
今回のエピソードではちょっぴり懐かしいキャラクターも再登場させたいと狙っていますので、その辺も楽しみにお付き合い頂けたらと思います!(´▽`*)
と言った所で今回はこの辺で! ここまでお読み頂き有り難う御座いました!
※2024/12/14■校正済み
更新お疲れ様ですvv
返信削除閻魔様めっちゃかわいい!ぶっ刺さりましたわーw
「へへ……」が、もう…もう…タイダルウェイブざばーーー
そしてなんと懐かしいキャラ再登場とか…
ゴリ蔵様か?そうなのか?ゴリ蔵様なんだな?いやまてまだ生きてるぞ…そう!死んでもらってはまだまだ困るのだ!!!
ごりぞーふぁいやー(昇天
補佐さん(呼び捨て)もいい感じです。(あっさり
いやぁーやっぱり実家感あっていいわー。
今回も楽しませていただきました!
次回も楽しみにしてますよーv
>とみちゃん
削除感想コメント有り難う御座います~!(´▽`*)
閻魔様可愛いですよね!??!!ぶっ刺さってくれて嬉しい~!!!ww┗(^ω^)┛
「へへ……」が一番ぶっ刺さってシーンなのですね!? 分かり味しかない…(ヘドバンしてる図)
ゴリ蔵様は流石に「懐かしいキャラ」ではないでしょ!wwwつい最近出たばかりだよ!wwwwww(笑) ゴリ蔵様大好きなの分かるけども!wwwww(笑)
補佐さん(呼び捨て)も良い感じで良かった~!(´▽`*) 閻魔様とセットで見守ると中々よきです…!w
いつでもどこでも実家感を味わえる神否荘…変にシリアスになったりしないのが、やっぱり実家感大きいのかな…??🤔
今回もお楽しみ頂けたようで嬉しいです~!!
次回もぜひぜひお楽しみに~!!(´▽`*)