2024年1月14日日曜日

第3話 お給料の出るFC勤め

ミスト・ヴィレッジ在住一般冒険者の日常(FF14二次創作小説)
第3話 お給料の出るFC勤め

第3話 お給料の出るFC勤め


「あぁ~~~疲れた……」

 リムサ・ロミンサが解放している冒険者用の居住区画、ミスト・ヴィレッジを、草臥れた様子で歩いている冒険者の姿が、夜道に照らし出されていた。
 腰に二振りの短剣を佩いている双剣士のミコッテことツバキは、疲れ切った様子で自宅であるアパルトメント、トップマストを目指して坂道を登っていく。
 テレポで直接帰っても良かったのだが、相変わらず極貧生活をしている彼女にとって、テレポに掛かる費用は馬鹿にならない。余裕が有る時はこうして徒歩で自宅に向かうのが習慣になっていた。
「リムサ・ロミンサから無料の小舟が出てるって言っても、やっぱり時間を取るかギルを取るか、なんだよねぇ……」
 テレポだと一瞬で目的地に辿り着ける分、ギルが必要になり、テレポを使わない移動であれば、ギルは掛からない分、それだけ時間が掛かる。当たり前の話ではあるが。
 冒険者として活動していると、食費は勿論の事、防具や武器などの装備品にもギルは溶けていくし、クラフターやギャザラーなどにも手を伸ばせば、それぞれの道具や装備品を新調していく度にギルが飛んでいく。
 一攫千金を狙って大物のモブを退治しに行っても、その戦闘で消耗した装備品の修理費と報酬がどっこいなんてザラだ。
 まして、仲間とパーティを組んで繰り出そうものなら、分け前は減るし、失敗した時の損失を考えると頭を抱えるどころの騒ぎではない。
 何をしても付き纏うギルの問題に、ツバキは「もしかしてギルの為に冒険者になったんだっけ……」などと上の空で呟いてしまう。
 ミスト・ヴィレッジが誇るアパルトメント、トップマストのロビーに辿り着いたツバキは受付に居るアパルトメント担当官に軽く挨拶をして、自分の部屋を目指して通り過ぎようとしたが、不意に呼びかけられて足を止める事になる。
「ツバキさん、先程モグレターが届いていたみたいですよ」
「へ?」
 モグレター、要するに手紙な訳だが、誰かと文通していた記憶は無いし、手紙を送ってくる相手も想像が出来ず、もしや勤めてるグランドカンパニーから異動のお知らせとか、或いは……そう、双剣士ギルドからの依頼かな、などと考えながらモグレターのモーグリに向かって進路を変える。
「ツバキさん! お手紙が届いてるクポ!」
 モーグリはそう言って手紙を一通と、重そうな革袋を一緒に手渡してきた。ずっしりと重たい革袋を受け取り、何だこれ……と思いながら「ありがとう」とお礼を返し、中身は部屋で確認しようとそのまま自分の部屋に帰って行く。
 部屋の鍵を開けて、革袋を入ってすぐのラザハン・ラウンドテーブルに置き、ラザハン・チェアに腰掛けながら中を検める。
 すると出てきたのは大量のアラグ白金貨だった。一枚で一万ギル相当のそれが、パッと見ただけでも五十枚以上入っている。
 ツバキは目を白黒させた後、双剣士ギルドの報酬にしてはあまりにも高額だし、賞金首を討滅したとしてもここまでの額にはなるまい。無論、ギルドリーヴの報酬としてもおかしい額だ。
 とんでもない事態に巻き込まれたのではないかと勘繰ったツバキは、ひとまず一緒に手渡されたモグレターの方も検める。
 そこでこの大金の謎は解けた。
「フリーカンパニーの……給料……?」
 そこには先日加入したフリーカンパニーのマスターから、先月の分の給料を送付しますと言う記載が有り、ツバキは更に目を白黒させてしまう。
 フリーカンパニーとはいわゆる互助会みたいなものとばかり思っていた為、まさか給料と言うものが発生するとは露にも思ってなかったのである。
「待って……給料の内訳は理解したけど、それで一月でこんな額が支給されるの……?」
 モグレターには給料に関して、どういう計算の元で算出されているかしっかり明記してあったが、それを理解/納得してもなお、あまりにも大金過ぎて、認識が追い着いてこない。
 毎日ギルドリーヴなどの依頼を熟し、双剣士ギルドなどから斡旋される仕事を熟して、やっと辛うじて生活できるギルを稼いでいたツバキにとって、この給料はまさにボーナス以外の何物でも無かった。
「……これは、今のフリーカンパニーに巡り合えた事を全力で感謝しなきゃだ……」嬉しさのあまり脱力し、ラザハン・チェアにもたれかかるツバキ。「よーしっ、これで新調したかった仕事道具も軒並み新調できるな……! 後は余ったおギルで明日は“ビスマルク”にでも出向いちゃうかぁ~!?」
 降って湧いた大金に小躍りし始めてしまうツバキだったが、ふとフレンドリストに在る名前を思い出して、ペンを執った。
 一人で喜びを味わうのも良いが、今は友達と分かち合いたい気分だったツバキは、先日ごり押し気味にフレンドになったツトミへと、モグレターを綴るのだった。

◇◆◇◆◇

「それで“ビスマルク”でご飯食べよーって誘ってくれたんですねー、ツトミ嬉しい~」
 晴天の昼下がり、リムサ・ロミンサのレストラン“ビスマルク”で待ち合わせをしたツバキは、ツトミと一緒にランチを楽しんでいた。
「喜んで貰えて良かった~。今日は私の奢りだから、じゃんじゃん頼んじゃって良いよ、じゃんじゃん」
 普段は中々手が出せないビスマルク名物のエッグサンドを頬張るツバキ。シャキシャキのラノシアレタスと、ふわふわのアプカルの卵が、バターとラノシア岩塩に包まれ、一口頬張る度に幸せで満たされる。
「ツバキちゃんのそれ美味しそうだから、わたしもそれにしよーっと。すみませーん、エッグサンド一つ~」
「これね~、マジで美味いよ。“溺れた海豚亭”のラノシアトーストも好きだけど、ビスマルクのエッグサンドは何かアレだね、格が違うって言うか」
「ヤバーい。じゃあまた奢ってくださいね~」
「ははは、ちゃっかりしてるなツトミちゃんは~」
 笑いながら食べるエッグサンドは幸せの味がした。
 毎日ギルドリーヴに追われる日々に疲れ果てていたツバキにとって、最高の休日として、その日はたらふくエッグサンドを貪るのだった。
 ……その後、会計の時に目が零れ落ちそうになる額を見る事になるのだが、それはまた別の話。

🌟後書

 いやほんとこの話に関しては実際に給料の出るFCに所属していたので、あまりにもビックリして、これはもう絶対に物語に仕立てないと創作者魂が泣いちゃうでしょ案件でしたwww(笑)
 今現在はツバキちゃんではなくサブっ子ララフェルのトトギちゃんが所属しているFCになるのですが、今でも大変お世話になっております(´▽`*) FCメンバーにお給料を支払うと言うその発想がメカウロ過ぎましたので、何れツバキちゃんがFCを立ち上げた際にはぜひ参考にさせて頂こうかなとか何とか…!w
 あとこれは背景と言うか、ツバキちゃんの心境/心情的な意味合いの話ですが、ツトミちゃんと言うふわふわギャルと友達になった事で、影が濃かったイメージが柔和になっていく…そんな展開も考えていました。
 ツバキちゃん自体が必殺仕事人的な、悪を討つ為であれば冷酷非情にすらなり得る双剣士、みたいな人物像から、普段はツトミちゃんと過ごす事で段々と柔らかい一面が前面に出てくるような…そんな思惑有ってツトミちゃんの登場が増えていく感じですw
 と言った所で今回はこの辺で! ここまでお読み頂き有り難う御座いました!

🌸以下感想

とみ
更新お疲れ様ですvv

すっかり遅くなってしまいましたm(_ _)m

素敵ですよねお給料が出るだなんて。
うちで出すとなると、保険やら年金やら福利厚生、組合費、管理費、お布施などなど天引きさせていただくと…
50万ギルほど負担していただくことになっちゃうなー(棒読み

お給料とは?

色々なツバキちゃんを見ることができて良いです!
そして最後はサクちゃんと性癖を暴露し合う性癖博覧会へと続いていくわけですねめっちゃ楽しみです(棒読み

今回も楽しませていただきました~
次回もマジ卍!!
2024年1月15日月曜日 14:33:11 JST

夜影
>とみちゃん

感想コメント有り難う御座います~!(´▽`*)

素敵ですよねぇ、お給料が出るって…!
50万ギルの負担wwwwwお給料とはいったい…!wwwwww(笑)

色々なツバキちゃんをお楽しみ頂けて嬉しいです!(´▽`*)
性癖博覧会へと続いていくのはアカンwwwwww(笑)

今回もお楽しみ頂けたようで嬉しいです~!
次回もぜひぜひマジ卍!!wwwww
2024年1月15日月曜日 17:23:22 JST

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