013.蒼炎竜騎士団〈1〉
013.蒼炎竜騎士団〈1〉
「……? 何か騒がしいな、喧嘩か?」 ゼラフの何気無い言葉に、リスタとシアの視線が広場の奥――先程別れた依頼主であるギロウが去って行った方向に向いた。 ギロウは禿頭の男に進路を阻まれ、怯えた様子でイワヒメ草を握り締めている。「おいガキ、その草は何だ、アァ? どこで見つけた? 誰が採って来たのかって訊いてるンだろが、アァ!?」「ひ、ひぇ……」 ギロウは禿頭の男の剣幕にすっかり気圧され、その場に尻餅を着いてしまう。 禿頭の男はそんなギロウの反応に構わず、イワヒメ草を奪い取ろうとして――その手が伸び切る前に、目前に迫っていたリスタに気づいて止まった。「ア? 何だテメエらは? 見世物じゃねェんだぞ、アァ?」「見世物じゃねェなら人が苦労して手に入れたブツを奪おうとするの止めてくれるか?」応じるようにメンチを切るリスタ。「それとも何か? この街じゃガキの持ってるモノは誰でも奪い取れる不作法が罷り通ってンのか? えぇおい?」 禿頭の男は額に青筋を走らせながら、標的をリスタに変えた事を示すように、ゆっくりと体の向きを彼に直した。「おいクソボケ、その耳をカッ穿ってよく聴けよ? 俺ァただ、このクソガキが持ってるこの草がよォ、こんなゼニーも持たねェガキが持ってる訳がねェから、尋ねただけなんだぜ? テメエみてェな小便臭ェハンターがしゃしゃり出てきてンじゃねェよボケが!」 人差し指でリスタの胸を突きながら怒号を張り上げる禿頭の男に、リスタは併し一歩も引かずにメンチを切り続ける。「聴こえなかったのか? その草は俺が採って来たって言ってんだよ、その耳は飾りか? 使い物にならねェなら、その頭のように耳もツルツルに削ぎ落としゃどうだ? ん?」「おい、おい、おい。お前まさか……俺をハゲと馬鹿にしたのか?」禿頭の男が剽げた態度で大仰に驚く。「ゲハ、ゲハハハ! おい、おい、まさかお前、俺が誰だか知らねェのか? いや、知る訳ねェよな、テメエみたいなケツの青い子猿が知る訳ねェか!」 リスタの眼光が鋭くなり、禿頭の男も眼光鋭くリスタを睨み据える。「一度だけ言うぜ、覚えられねェならテメエの命は今日までだクソボケ。“【蒼炎竜騎士団】のレイヴンに逆らうな”。これが狩人都市・アルテミスの絶対的なルールだ。噛み締めろ、そして復唱しろ今すぐだ!」 激昂した様子で大声をがなり立てる禿頭の男――レイヴンに、リスタは物覚えが悪い白痴の真似をして、小馬鹿にした表情で小首を傾げた。「ハゲのおっさんに従う道理がねェよ、寝言は寝て言えハゲ」 深……、と広場が無音になった。 広場に居合わせるハンターも住人も、全員が息を呑んで行く末を見守っている。 明らかに異質な空気をリスタも感じ取っていたが、発言を引っ込めるつもりは無く、冷たく凍った空気を破砕するように、レイヴンを指差して笑いかけた。「面白くねェ冗談に観客が凍ってるぜハゲ? 笑いのセンスがねェんだなお前」「――――三回だ」 レイヴンは真顔で指を三本立てて呟いた。 リスタは怪訝な表情でそれを見据え、「何が?」とメンチを切った。「お前が俺の怒りを買った回数だ」拳を固めたレイヴンに、リスタは攻撃されると察して――――次の瞬間には、思いっきり腹に拳を叩き込まれていた。「グエェッフ」思いっきり吐瀉して転げ回るリスタ。「な、何……ッ!?」 反応速度、反射神経には自信が有っただけに、リスタは今、自分が何をされたのか理解できなかった。 いや、理解は出来る。殴られたのだ、正攻法で。己の反応速度、反射神経を超える速度で、たった一撃。 その事実を上手く呑み込めない。こんな速さで、予兆を感じてから行動に移すまでのラグが無い殴打は生まれて初めてだった。 殴られた、無抵抗に。その事実が脳髄に駆け上がる前に、体が宙に浮いていた。「ゴポォッ」リスタが再び吐瀉した時は、血液も混ざっていた。 体が宙に舞っている段階でやっと気づく。レイヴンに蹴り上げられたのだ。体が錐揉み状態で回転し、状態が上手く掴めない。 併し、二度も為す術も無く攻撃されて何も学ばないほど、リスタはハンターを辞めていなかった。 次の瞬間にはリスタは広場で営業をしていた弁当屋に頭から突っ込み、動かなくなる。 三撃目は水平蹴り。それでリスタはノックアウトされた筈で、暫く動けない体にされている筈だった。「……ほォー、見えてねェのによく対応できたな、クソガキ」 蹴りを放った姿勢でレイヴンは己の右足に触れる。そこには人体を蹴り飛ばした衝撃ではなく、彼が装備している小盾を殴った衝撃の余波が残っていた。 弁当屋に突っ込んだリスタは併し動き出す気配が無く、レイヴンは重たい溜め息を吐き下ろすと、再びギロウに向き直った。「――――おい、人の納品物に触るな、殺すぞ」 レイヴンの手がギロウに伸び切る前に、再び止まった。 弁当屋の瓦礫からゆっくりと立ち上がったリスタが、全身血塗れの態で、レイヴンを睨み据える。「ほォー! 動けるか、俺の攻撃を三発も受けてなお!」感心したように拍手を始めるレイヴン。「中々頑丈なクソガキだ、立ち上がった事に関しても見直してやる。だが“殺すぞ”は頂けねェな、実力差を理解できてねェ訳じゃねェよな? 誰が、誰を――――」「俺が、テメエを、殺すっつったんだよ。それすら分からねェのか、“このハゲ”は」 再び空気が凍り付く。それだけは絶対に言うな、言うと言う事はどうなるか分かっているのか――? 観衆はこれから行われるであろう惨劇を想像し、目を背ける者も居た。 レイヴンは目を見開いたまま表情筋を固まらせ、不気味な表情でリスタを見据える。「――――よく、言った。四度目だ。四度も俺をコケにして、生きてこの街を出られると思ってたんだとしたら、相当……いや、ブッチギリでおめでたい野郎だ」「おめでたい? テメエの頭がか? 確かに初日の出みてェだもんな、年始に拝んでやっても良いぜ?」「そうか。――――死ね」 レイヴンは腰に佩いていた双剣を、リスタは抜き放っていた小盾を構え――――「――双方それまで! それ以上の狼藉は【蒼炎竜騎士団】が許さん!」 互いの殺意が限界まで迸った瞬間、その間に入ったのは青い長髪の女だった。 大剣を地面に突き刺して広場全体がビリビリと振動するような大声を張り上げた青髪の女に、リスタは驚き、レイヴンは即座に跪拝のポーズを取った。「アリス様だ……」「アリス様がいらっしゃった……!」 観衆が銘々に呟いているのを聞き、リスタは殺意が霧散した自分とレイヴンに再び驚き、改めて眼前に降り立った騎士然とした女を見上げる。 艶やかな青い髪は背中に掛かる程に長く、瞳は燃えるような紅眼。モデルのように上背が有り、スレンダーな体型も相俟って、ハンターの装備をしていなければ週刊誌にでも掲載されていそうなプロポーションの良さを見せている。 そう、ハンターの装備を纏っていた。蒼火竜と呼ばれるリオレウスの亜種……全身を青い鱗と甲殻で纏った飛竜の素材で作られた装備を纏い、地面に突き刺した大剣もまた、同じ素材であしらわれた特注品だ。 ハンターとして格上の女である事は、幾らリスタでも理解できる。「レイヴン。私闘は慎めと言いつけた筈だが?」「申し訳ありません。そこの少年が……」「言い訳は無用だ。三日間謹慎せよ。それすら守れぬようでは【蒼炎竜騎士団】に貴様の席は無い。疾く下がれ」「は……失礼致します」 リスタには一瞥もくれずに、先刻までの激情など一切感じさせない落ち着いた所作で立ち去るレイヴンに、彼をそこまで畏まらせる相手であろう彼女――アリスに関心が向く。「やっと話が通じる野郎が出てきたか。……クソ、血を失い過ぎた……頭が……」 ふらつくリスタを片腕で受け止めるアリス。そこに今まで見守っていたシア、ゼラフ、クーリエが飛び出して来て、アリスと向かい合う。「……リスタを、どうする、つもり?」シアが怪訝な表情で睨み据える。「シアちゃん!? あ、相手はあの、あの、【蒼炎竜騎士団】の団長であるアリス様だよ!? こ、言葉をもっと優しめに……!」素が出てアワアワし始めるゼラフ。「私達~、その子の~、仲間なんですけど~、アリス様は~、どうなさる~、おつもりですかぁ~?」クーリエが間延びした声で、併し若干怯んだ様子で尋ねる。 アリスは受け止めたリスタを見下ろし、疲れたように鼻息を落とすと、「……ウチの副団長が粗相をした事に関しては謝罪する。するが……此奴にも問題が有った事は、流石に判っておろうな?」柔和な苦笑を浮かべて、問題児を見る教師のような態度でリスタを担ぎ上げる。「我が猟団部屋にて治療を受けさせよう。貴様らも付いて来るが良い」 三人は顔を見合わせ、断り辛い申し出に、皆頷き合ってアリスの後を追い駆ける。「あぁ、それと。そこの少年。貴様にも付いて来て貰いたいのだが、構わないだろうか?」 広場を立ち去ろうとしたアリスが声を掛けたのは、トラブルの元になった少年――ギロウだった。「お、おれ?」自分を指差して驚くギロウ。「あぁ、貴様からも話を聴きたくてな。時間はそう取らせない」「わ、分かった……じゃなくて、分かりました……」 ギロウが怯えた様子で頷くのを見て、アリスは柔和な微笑を浮かべると、「助かる」とだけ返し、リスタを担ぎ上げたまま颯爽と歩き出す。 その周りには団員であろう青い装備を身に纏ったハンター達……ランポスシリーズで統一された一団が囲うように歩き出す。 そんな一団から少し離れて追うシア、ゼラフ、クーリエ、そしてギロウ。 彼らが広場から去って、ようやくいつもの喧騒が戻ってきた事に安堵する住民とハンター達なのだった。
「……? 何か騒がしいな、喧嘩か?」
ゼラフの何気無い言葉に、リスタとシアの視線が広場の奥――先程別れた依頼主であるギロウが去って行った方向に向いた。
ギロウは禿頭の男に進路を阻まれ、怯えた様子でイワヒメ草を握り締めている。
「おいガキ、その草は何だ、アァ? どこで見つけた? 誰が採って来たのかって訊いてるンだろが、アァ!?」
「ひ、ひぇ……」
ギロウは禿頭の男の剣幕にすっかり気圧され、その場に尻餅を着いてしまう。
禿頭の男はそんなギロウの反応に構わず、イワヒメ草を奪い取ろうとして――その手が伸び切る前に、目前に迫っていたリスタに気づいて止まった。
「ア? 何だテメエらは? 見世物じゃねェんだぞ、アァ?」
「見世物じゃねェなら人が苦労して手に入れたブツを奪おうとするの止めてくれるか?」応じるようにメンチを切るリスタ。「それとも何か? この街じゃガキの持ってるモノは誰でも奪い取れる不作法が罷り通ってンのか? えぇおい?」
禿頭の男は額に青筋を走らせながら、標的をリスタに変えた事を示すように、ゆっくりと体の向きを彼に直した。
「おいクソボケ、その耳をカッ穿ってよく聴けよ? 俺ァただ、このクソガキが持ってるこの草がよォ、こんなゼニーも持たねェガキが持ってる訳がねェから、尋ねただけなんだぜ? テメエみてェな小便臭ェハンターがしゃしゃり出てきてンじゃねェよボケが!」
人差し指でリスタの胸を突きながら怒号を張り上げる禿頭の男に、リスタは併し一歩も引かずにメンチを切り続ける。
「聴こえなかったのか? その草は俺が採って来たって言ってんだよ、その耳は飾りか? 使い物にならねェなら、その頭のように耳もツルツルに削ぎ落としゃどうだ? ん?」
「おい、おい、おい。お前まさか……俺をハゲと馬鹿にしたのか?」禿頭の男が剽げた態度で大仰に驚く。「ゲハ、ゲハハハ! おい、おい、まさかお前、俺が誰だか知らねェのか? いや、知る訳ねェよな、テメエみたいなケツの青い子猿が知る訳ねェか!」
リスタの眼光が鋭くなり、禿頭の男も眼光鋭くリスタを睨み据える。
「一度だけ言うぜ、覚えられねェならテメエの命は今日までだクソボケ。“【蒼炎竜騎士団】のレイヴンに逆らうな”。これが狩人都市・アルテミスの絶対的なルールだ。噛み締めろ、そして復唱しろ今すぐだ!」
激昂した様子で大声をがなり立てる禿頭の男――レイヴンに、リスタは物覚えが悪い白痴の真似をして、小馬鹿にした表情で小首を傾げた。
「ハゲのおっさんに従う道理がねェよ、寝言は寝て言えハゲ」
深……、と広場が無音になった。
広場に居合わせるハンターも住人も、全員が息を呑んで行く末を見守っている。
明らかに異質な空気をリスタも感じ取っていたが、発言を引っ込めるつもりは無く、冷たく凍った空気を破砕するように、レイヴンを指差して笑いかけた。
「面白くねェ冗談に観客が凍ってるぜハゲ? 笑いのセンスがねェんだなお前」
「――――三回だ」
レイヴンは真顔で指を三本立てて呟いた。
リスタは怪訝な表情でそれを見据え、「何が?」とメンチを切った。
「お前が俺の怒りを買った回数だ」拳を固めたレイヴンに、リスタは攻撃されると察して――――次の瞬間には、思いっきり腹に拳を叩き込まれていた。
「グエェッフ」思いっきり吐瀉して転げ回るリスタ。「な、何……ッ!?」
反応速度、反射神経には自信が有っただけに、リスタは今、自分が何をされたのか理解できなかった。
いや、理解は出来る。殴られたのだ、正攻法で。己の反応速度、反射神経を超える速度で、たった一撃。
その事実を上手く呑み込めない。こんな速さで、予兆を感じてから行動に移すまでのラグが無い殴打は生まれて初めてだった。
殴られた、無抵抗に。その事実が脳髄に駆け上がる前に、体が宙に浮いていた。
「ゴポォッ」リスタが再び吐瀉した時は、血液も混ざっていた。
体が宙に舞っている段階でやっと気づく。レイヴンに蹴り上げられたのだ。体が錐揉み状態で回転し、状態が上手く掴めない。
併し、二度も為す術も無く攻撃されて何も学ばないほど、リスタはハンターを辞めていなかった。
次の瞬間にはリスタは広場で営業をしていた弁当屋に頭から突っ込み、動かなくなる。
三撃目は水平蹴り。それでリスタはノックアウトされた筈で、暫く動けない体にされている筈だった。
「……ほォー、見えてねェのによく対応できたな、クソガキ」
蹴りを放った姿勢でレイヴンは己の右足に触れる。そこには人体を蹴り飛ばした衝撃ではなく、彼が装備している小盾を殴った衝撃の余波が残っていた。
弁当屋に突っ込んだリスタは併し動き出す気配が無く、レイヴンは重たい溜め息を吐き下ろすと、再びギロウに向き直った。
「――――おい、人の納品物に触るな、殺すぞ」
レイヴンの手がギロウに伸び切る前に、再び止まった。
弁当屋の瓦礫からゆっくりと立ち上がったリスタが、全身血塗れの態で、レイヴンを睨み据える。
「ほォー! 動けるか、俺の攻撃を三発も受けてなお!」感心したように拍手を始めるレイヴン。「中々頑丈なクソガキだ、立ち上がった事に関しても見直してやる。だが“殺すぞ”は頂けねェな、実力差を理解できてねェ訳じゃねェよな? 誰が、誰を――――」
「俺が、テメエを、殺すっつったんだよ。それすら分からねェのか、“このハゲ”は」
再び空気が凍り付く。それだけは絶対に言うな、言うと言う事はどうなるか分かっているのか――? 観衆はこれから行われるであろう惨劇を想像し、目を背ける者も居た。
レイヴンは目を見開いたまま表情筋を固まらせ、不気味な表情でリスタを見据える。
「――――よく、言った。四度目だ。四度も俺をコケにして、生きてこの街を出られると思ってたんだとしたら、相当……いや、ブッチギリでおめでたい野郎だ」
「おめでたい? テメエの頭がか? 確かに初日の出みてェだもんな、年始に拝んでやっても良いぜ?」
「そうか。――――死ね」
レイヴンは腰に佩いていた双剣を、リスタは抜き放っていた小盾を構え――――
「――双方それまで! それ以上の狼藉は【蒼炎竜騎士団】が許さん!」
互いの殺意が限界まで迸った瞬間、その間に入ったのは青い長髪の女だった。
大剣を地面に突き刺して広場全体がビリビリと振動するような大声を張り上げた青髪の女に、リスタは驚き、レイヴンは即座に跪拝のポーズを取った。
「アリス様だ……」「アリス様がいらっしゃった……!」
観衆が銘々に呟いているのを聞き、リスタは殺意が霧散した自分とレイヴンに再び驚き、改めて眼前に降り立った騎士然とした女を見上げる。
艶やかな青い髪は背中に掛かる程に長く、瞳は燃えるような紅眼。モデルのように上背が有り、スレンダーな体型も相俟って、ハンターの装備をしていなければ週刊誌にでも掲載されていそうなプロポーションの良さを見せている。
そう、ハンターの装備を纏っていた。蒼火竜と呼ばれるリオレウスの亜種……全身を青い鱗と甲殻で纏った飛竜の素材で作られた装備を纏い、地面に突き刺した大剣もまた、同じ素材であしらわれた特注品だ。
ハンターとして格上の女である事は、幾らリスタでも理解できる。
「レイヴン。私闘は慎めと言いつけた筈だが?」
「申し訳ありません。そこの少年が……」
「言い訳は無用だ。三日間謹慎せよ。それすら守れぬようでは【蒼炎竜騎士団】に貴様の席は無い。疾く下がれ」
「は……失礼致します」
リスタには一瞥もくれずに、先刻までの激情など一切感じさせない落ち着いた所作で立ち去るレイヴンに、彼をそこまで畏まらせる相手であろう彼女――アリスに関心が向く。
「やっと話が通じる野郎が出てきたか。……クソ、血を失い過ぎた……頭が……」
ふらつくリスタを片腕で受け止めるアリス。そこに今まで見守っていたシア、ゼラフ、クーリエが飛び出して来て、アリスと向かい合う。
「……リスタを、どうする、つもり?」シアが怪訝な表情で睨み据える。
「シアちゃん!? あ、相手はあの、あの、【蒼炎竜騎士団】の団長であるアリス様だよ!? こ、言葉をもっと優しめに……!」素が出てアワアワし始めるゼラフ。
「私達~、その子の~、仲間なんですけど~、アリス様は~、どうなさる~、おつもりですかぁ~?」クーリエが間延びした声で、併し若干怯んだ様子で尋ねる。
アリスは受け止めたリスタを見下ろし、疲れたように鼻息を落とすと、「……ウチの副団長が粗相をした事に関しては謝罪する。するが……此奴にも問題が有った事は、流石に判っておろうな?」柔和な苦笑を浮かべて、問題児を見る教師のような態度でリスタを担ぎ上げる。「我が猟団部屋にて治療を受けさせよう。貴様らも付いて来るが良い」
三人は顔を見合わせ、断り辛い申し出に、皆頷き合ってアリスの後を追い駆ける。
「あぁ、それと。そこの少年。貴様にも付いて来て貰いたいのだが、構わないだろうか?」
広場を立ち去ろうとしたアリスが声を掛けたのは、トラブルの元になった少年――ギロウだった。
「お、おれ?」自分を指差して驚くギロウ。
「あぁ、貴様からも話を聴きたくてな。時間はそう取らせない」
「わ、分かった……じゃなくて、分かりました……」
ギロウが怯えた様子で頷くのを見て、アリスは柔和な微笑を浮かべると、「助かる」とだけ返し、リスタを担ぎ上げたまま颯爽と歩き出す。
その周りには団員であろう青い装備を身に纏ったハンター達……ランポスシリーズで統一された一団が囲うように歩き出す。
そんな一団から少し離れて追うシア、ゼラフ、クーリエ、そしてギロウ。
彼らが広場から去って、ようやくいつもの喧騒が戻ってきた事に安堵する住民とハンター達なのだった。
🌟後書
モンハンと全然関係無い話でアレですけど、こういう人と人が接触した時の感情のぶつかり合いとか、想いと想いの交錯が好きで小説を綴ってるまで有るので、寧ろこっちが本職まで有ると言うか何と言うか…w(言い訳)
と言う訳で新たな登場人物のレイヴンさんとアリスさん。そして猟団を立ち上げて早々に別の猟団が出てくる展開です。まだまだリスタ君のトラブルは終わらないっ!(笑) レイヴンさんは最近「ジョジョの奇妙な冒険」を見てる影響が色濃く反映されてる気がします。主に口調と言うか言い回しと言うかが…w 前回のお話で第1章が終わった感じで、今回から第2章みたいな感じで、また新しい物語、新しい狩猟が始まる予定です。どうかお楽しみに! と言った所で今回はこの辺で! ここまでお読み頂き有り難う御座いました!
と言う訳で新たな登場人物のレイヴンさんとアリスさん。そして猟団を立ち上げて早々に別の猟団が出てくる展開です。まだまだリスタ君のトラブルは終わらないっ!(笑)
🌸以下感想
とみ
更新お疲れ様ですvv
歩くトラブル製造マシーンw
とは言うものの決して道理に外れた行為はしてないリスタくん。
ちょーっとお口がよろしくない感じなのかしら?また、生意気っぽいところが少年誌ってことかwいいぞ!もっとやれ!!
都市のルールを決めてそうな勢いの副団長とか、グラビアアイドルとの噂まである団長とか癖強な人の巣窟【蒼炎竜騎士団】!
果たして無事猟団部屋から帰って来ることができるのかっ!乞うご期待!!
やはり本職、筆ののりが一味違ってる気がします。ガンガンいこうぜw
今回も楽しませていただきました!
次回も楽しみにしてますよーv
2024年2月28日水曜日 22:20:27 JST
夜影
>とみちゃん
感想コメント有り難う御座います~!(´▽`*)
歩くトラブル製造マシーンwwwwwww
ですですwwトラブルは無限に製造しますけれど、道理に外れた行為はしていないのです!ww
口は禍の元を地で行く為にだいぶやらかすのが玉に瑕なだけで…www そう!w この辺が週刊少年誌っぽさと言う事で一つ!www(笑)
グラビアアイドルとの噂まである団長でめちゃ笑ってしまったwwwwww確かにそれっぽいと描写しましたけれど!wwwwww(笑)
猟団部屋から帰って来られるのか! どうぞお楽しみに!!(´▽`*)
筆ののりが一味違う…!!! めちゃんこ嬉しい事言ってくれるじゃないですかヤッター!www┗(^ω^)┛ この調子でガンガン参りますぞ!ww
今回もお楽しみ頂けたようで嬉しいです~!
次回もぜひぜひお楽しみに~!
2024年2月28日水曜日 22:28:06 JST
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