第19話 魔道書を探して〈2〉
第19話 魔道書を探して〈2〉
「皆さんも浄天の書を追っているんですよね? 私もその調査に参加する為に来た、じゅ……錬金術師です」
ウイと名乗った冒険者は、背に忍ばせていた両手呪具をそっと隠しつつ、今し方まで脅威となっていたヴォイドクラックの辺りまで歩み寄って来た。 そんなウイの様子に、周囲の冒険者や調査団のメンバーも、自然と落ち着きを取り戻して、再び調査の手を再開し始めていく。 ウイは錬金薬と思しき小瓶を、ヴォイドクラックが浮かんでいた辺りの床にポトリと落として、経過を見守っている。「その薬で何か手掛かりが掴めると見て良いのかしら?」 ユキがウイの隣で同じようにしゃがみ込んで尋ねると、彼女は「えぇと……」と手をワタワタさせた後、黒縁のモダンパンスネを正した。「まず前提として、ヴォイドゲート……さっきのヴォイドクラックが人為的に開いたものであるとするならば、妖術や魔術の知識に優れた術者の血が使われている可能性がとても高いです」早口で言い切ると、ウイはそこで空咳を挟み、垂らした錬金薬が徐々に赤いグミのように固まるのを見届ける。「この錬金薬は、ヴォイドゲートに使われたであろう術者の血の痕跡を辿り、凝結して採集する為の物です。これを使えば、浄天の書探しにも役立つかなって思って……」 そこまで説明を終えたウイは、はたと何かに気づき、再びワタワタと慌てだした。「す、済みません! 途中から出しゃばってきた上にペラペラと捲くし立ててしまって……!」「ん? そんな事無いと思うけど。充分分かり易く説明してくれてたじゃない」不思議そうに小首を傾げるユキ。「となると、その赤い塊が……」 ウイは凝固した赤いグミ状の錬金薬をフラスコで汲み取り、小さく首肯を見せる。「はい、ヴォイドクラックを発生させた何者かの血です。状況判断で言えば、浄天の書に係わる何者か、と言う事になりますね」「すごーい、錬金術師ってこんな事出来るんだ~。ツトミも錬金術師になろうかな」「動機それで良いの……??」 満足そうにフラスコの中を見つめるウイに向かって、拍手をするツトミに、呆れた様子で見守るツバキと続いた。「その……血を、どう利用する……の?」コト、と小首を傾げるミリ。「また、ヴォイドクラックが、出来た時に、使う……とか?」「えぇと、これを魔法人形の追跡君に覚えさせて……」 と言いながら、ウイはバッグの中から小さなミニオン――曰く「追跡君」と呼ばれる魔法人形の背中を開けて、フラスコの中にしまっていた赤い塊を入れる。 すると追跡君は「ぴぴぴ、ツイセキを、カイシします」と言って人の走る速度で駆け出し始めた。「これで術者の居所を探り当てれば、浄天の書に関係してるか分からなくても、ヴォイドクラックを発生させた術者の元に辿り着ける筈です!」言いながらウイも駆け出した。「私、戦闘はカラッキシなので、皆さん援護お願いします!」「ん? 皆さんって?」ツバキが問いかけるも、ウイの話を聞いていたのはツバキ達四人だけで、周囲の冒険者や調査団のメンバーは誰も聞いていない様子だった。「うあ、貧乏くじ引いたかも。くそう、みんな急ごう!」 ツバキが慌てた様子でウイを追い駆けて駆け出したのを機に、ツトミとユキとミリの三人も頷き合い、その背を追って駆け出した。 モラビー造船廠の人混みを掻き分けて辿り着いた先は、モラビー湾地区とゴッズグリップ地区の境界である、オシュオン大橋だった。 今も行商の人間や冒険者が多く行き交うそこで、追跡君は巴術士と思しきルガディン族の女に向かって、「たーげっとデス、たーげっとデス」と警告灯を回して喚き始めた。「うわ、何だこいつ……」 ルガディン族の女は鬱陶しそうに追跡君を避けるように早歩きになるも、追跡君はピッタリとつかず離れずの距離を保って、「たーげっとデス、たーげっとデス」と喚き続ける。「あのー、そこのお姉さん、ちょっとお話良いですか?」 遠巻きに見守るウイを押し退けて、ツバキがにこやかな微笑を浮かべてルガディン族の巴術士に歩み寄る。ルガディン族の女は怪訝な眼差しでツバキを見やり、「何? こっちは急いでるんだけど」と突き放すように返した。「その魔道書、綺麗な青色で素敵ですね」ニコニコしながら告げるツバキ。「ちょっとよく見せて貰えませんか?」「は? 何言って――」「はーい、動かないでくださーい。膝を痛める事になりますよー」 ルガディン族の女が咄嗟に腰に据えていた魔道書に触れようとしたタイミングで、ツトミは弓を構えて大声を上げた。 往来の激しいオシュオン大橋の只中で、戦闘行為が始まろうと言う気配を察したのだろう。行商の人間や冒険者がざわつき始め、ツバキとルガディン族の女、ツトミとウイ達を遠巻きに円形の空白が出来上がる。 ルガディン族の女は眼光鋭くツトミを睨み据えた後、ツバキに視線を転じる。「……自分達が何をやろうとしてるのか、理解してるんでしょうね?」「やだなぁお姉さん、ちょっとした検問ですよ。すぐに終わりますから不安にならないで」ニコニコと応じるツバキ。「こっちは禁書かどうか確認できればそれで済むんで」「はぁー……」ルガディン族の女は深々と溜め息を落とすと、「参ったな、まさかこんな早く悟られるなんて想定外だ」 ツバキが意識を戦闘にシフトする前に、その体は宙を舞っていた。 双剣を抜きながら着地するも、胸を襲った強打の一撃に、思わず小さく喀血してしまう。あまりにも重い一撃に、口唇から漏れる鮮血を乱暴に拭いながら、笑みが浮かんでくる。「なんてこっただよ、まさかいきなり大当たりを引くなんて……!」 ツバキの視線の先で、ノーモーションで拳を振り切ったルガディン族の女は、「ふぅー……」と深々と呼気を落とすと、腰に佩いていた魔道書――浄天の書を構えて、酷薄な笑みを覗かせた。「――逸ったね? ここには餌があまりにも溢れてる」「“黒”って事で良いのよね?」即座に両手幻具を構えるユキ。「どれぐらい手加減したら良いの?」「取り敢えずまぁ……死なない程度にお願いします」思わず苦笑を覗かせてしまうツバキ。「浄天の書は新品で回収したいって事なので、そっちに気を遣って欲しいかな」「無茶言うわね!」魔力を込め、体内のエーテルを循環させるユキ。「輝き爆ぜろ! グレア!」 ルガディン族の女が、その詠唱速度の速さに目を瞠った瞬間、真昼間のオシュオン大橋を、光の暴力が駆け抜けた。 光の奔流が駆け抜けた後、皆の視界にルガディン族の女が映り込む。光輝の爆発に巻き込まれた彼女は一撃で動けない程に損耗している事が分かった。「はい、それ以上抵抗しないでね」 起き上がろうとしたルガディン族の女の首筋に双剣の白刃を添えるツバキ。その刹那、ルガディン族の女は呆けた顔をして、次の瞬間には泣き顔になった。「え? え? わ、わたし……わたし……」「……? 何か様子がおかしい……?」「――ツ、ツバキさん! 浄天の書が……!」 ミリの焦燥に駆られた声に振り返った瞬間、何かが高速で耳元を擦過し、尻餅を着いてしまうツバキ。 何が――? と思って振り返った先には、魔道書――浄天の書がパタパタと飛んでいる光景が視界に飛び込んできた。「くそ! くそ! まさか吾輩がここまで追い込まれるとは……! 何なんだあのメスヒト共は!」 パタパタと空高くを飛んでいる浄天の書を見つめながら、ツバキは頭が痛くなる想いで溜め息を零す。「おいおいおい……禁書どころか、意志を持ってるぞあの魔道書……魔物って先に伝えておいて欲しいなぁもう……!」「ねぇ、ツバキ。アレを生け捕りにしろって依頼なんだっけ?」上空を舞う魔道書を見守りながら、両手幻具を構えたままのユキ。「アレにグレアは……」「一撃で蒸発しないそれ??」「……ダメよねぇ……」「ダメだねぇ……」ツバキと一緒に溜め息を落とす。「くそ! くそ! 何なんだ! 吾輩を格下に見ているかのようなあの態度! 言葉遣い! 度し難いにも程が有る!」パタパタと虫のように飛んでいる魔道書――浄天の書は、突然禍々しく輝き始めた。「恐れ畏敬の念で平伏すが良い! 来たれ我が淵に沈みし妖異共よ!」 漆黒の雷がオシュオン大橋のそこここに飛来し、その雷の飛来地から続々と妖異――インプやガーゴイルが湧き出してきた。「ひゃあー! こ、ここ、これ、何とかなるんですよね!?」 ミリの陰に隠れて見守っていたウイが悲鳴を上げる。ミリはそんなウイを庇うように妖異の前に立ちはだかり、「わたしのそばを、離れないでください……!」と、鋭く妖異を睨み据えた。「ツトミちゃん、避難誘導お願いできる?」「任せてー、みんな~! ツトミちゃんについておいで~! 悪いようにはしないからさ~! へっへっへー!」「言い方に気を付けて!」 ツトミが周囲の人間の避難誘導を始めたのを確認して、ツバキは双剣を構えて、ユキは両手幻具を構えて、互いに背中合わせて妖異を睨み据える。「浄天の書じゃないから、ぶっ飛ばして良いのよね?」「今度は手加減要らないから、存分にぶっ飛ばしちゃって良いよ!」「オッケー! だったら思いっきりやらせて貰おうじゃない!」「援護は、任せてください……!」二人を遠巻きに見ながら投擲武器を構えるミリ。「来ます……!」「さぁ妖異共よ、食い散らかせ! 我が覇道はここで終わる訳にはいかんのだ!」 浄天の書の高らかな宣言により、妖異が一斉に襲い掛かる。 オシュオン大橋で大立ち回りが始まった。 約12時間振りの最新話更新です。今までで最速まで有るかも知れませんw 科捜研の女とかってあんまり見た事無いままで、こういう事をしてるんだろうなってイメージでウイちゃんのシーンを綴っておりましたw 錬金術師のジョブクエストをしてると突然錬金薬を使って捜査が始まったりするの好きでしたw めちゃんこ長いエピソードになる予定が、何かあっと言う間に終着しそうで、相変わらず予定の立て方がガバガバでダメですw ウイちゃんもっと活躍させたいですが果たしてー! と言った所で今回はこの辺で! ここまでお読み頂き有り難う御座いました!
「皆さんも浄天の書を追っているんですよね? 私もその調査に参加する為に来た、じゅ……錬金術師です」
ウイと名乗った冒険者は、背に忍ばせていた両手呪具をそっと隠しつつ、今し方まで脅威となっていたヴォイドクラックの辺りまで歩み寄って来た。
そんなウイの様子に、周囲の冒険者や調査団のメンバーも、自然と落ち着きを取り戻して、再び調査の手を再開し始めていく。
ウイは錬金薬と思しき小瓶を、ヴォイドクラックが浮かんでいた辺りの床にポトリと落として、経過を見守っている。
「その薬で何か手掛かりが掴めると見て良いのかしら?」
ユキがウイの隣で同じようにしゃがみ込んで尋ねると、彼女は「えぇと……」と手をワタワタさせた後、黒縁のモダンパンスネを正した。
「まず前提として、ヴォイドゲート……さっきのヴォイドクラックが人為的に開いたものであるとするならば、妖術や魔術の知識に優れた術者の血が使われている可能性がとても高いです」早口で言い切ると、ウイはそこで空咳を挟み、垂らした錬金薬が徐々に赤いグミのように固まるのを見届ける。「この錬金薬は、ヴォイドゲートに使われたであろう術者の血の痕跡を辿り、凝結して採集する為の物です。これを使えば、浄天の書探しにも役立つかなって思って……」
そこまで説明を終えたウイは、はたと何かに気づき、再びワタワタと慌てだした。
「す、済みません! 途中から出しゃばってきた上にペラペラと捲くし立ててしまって……!」
「ん? そんな事無いと思うけど。充分分かり易く説明してくれてたじゃない」不思議そうに小首を傾げるユキ。「となると、その赤い塊が……」
ウイは凝固した赤いグミ状の錬金薬をフラスコで汲み取り、小さく首肯を見せる。
「はい、ヴォイドクラックを発生させた何者かの血です。状況判断で言えば、浄天の書に係わる何者か、と言う事になりますね」
「すごーい、錬金術師ってこんな事出来るんだ~。ツトミも錬金術師になろうかな」「動機それで良いの……??」
満足そうにフラスコの中を見つめるウイに向かって、拍手をするツトミに、呆れた様子で見守るツバキと続いた。
「その……血を、どう利用する……の?」コト、と小首を傾げるミリ。「また、ヴォイドクラックが、出来た時に、使う……とか?」
「えぇと、これを魔法人形の追跡君に覚えさせて……」
と言いながら、ウイはバッグの中から小さなミニオン――曰く「追跡君」と呼ばれる魔法人形の背中を開けて、フラスコの中にしまっていた赤い塊を入れる。
すると追跡君は「ぴぴぴ、ツイセキを、カイシします」と言って人の走る速度で駆け出し始めた。
「これで術者の居所を探り当てれば、浄天の書に関係してるか分からなくても、ヴォイドクラックを発生させた術者の元に辿り着ける筈です!」言いながらウイも駆け出した。「私、戦闘はカラッキシなので、皆さん援護お願いします!」
「ん? 皆さんって?」ツバキが問いかけるも、ウイの話を聞いていたのはツバキ達四人だけで、周囲の冒険者や調査団のメンバーは誰も聞いていない様子だった。「うあ、貧乏くじ引いたかも。くそう、みんな急ごう!」
ツバキが慌てた様子でウイを追い駆けて駆け出したのを機に、ツトミとユキとミリの三人も頷き合い、その背を追って駆け出した。
モラビー造船廠の人混みを掻き分けて辿り着いた先は、モラビー湾地区とゴッズグリップ地区の境界である、オシュオン大橋だった。
今も行商の人間や冒険者が多く行き交うそこで、追跡君は巴術士と思しきルガディン族の女に向かって、「たーげっとデス、たーげっとデス」と警告灯を回して喚き始めた。
「うわ、何だこいつ……」
ルガディン族の女は鬱陶しそうに追跡君を避けるように早歩きになるも、追跡君はピッタリとつかず離れずの距離を保って、「たーげっとデス、たーげっとデス」と喚き続ける。
「あのー、そこのお姉さん、ちょっとお話良いですか?」
遠巻きに見守るウイを押し退けて、ツバキがにこやかな微笑を浮かべてルガディン族の巴術士に歩み寄る。ルガディン族の女は怪訝な眼差しでツバキを見やり、「何? こっちは急いでるんだけど」と突き放すように返した。
「その魔道書、綺麗な青色で素敵ですね」ニコニコしながら告げるツバキ。「ちょっとよく見せて貰えませんか?」
「は? 何言って――」「はーい、動かないでくださーい。膝を痛める事になりますよー」
ルガディン族の女が咄嗟に腰に据えていた魔道書に触れようとしたタイミングで、ツトミは弓を構えて大声を上げた。
往来の激しいオシュオン大橋の只中で、戦闘行為が始まろうと言う気配を察したのだろう。行商の人間や冒険者がざわつき始め、ツバキとルガディン族の女、ツトミとウイ達を遠巻きに円形の空白が出来上がる。
ルガディン族の女は眼光鋭くツトミを睨み据えた後、ツバキに視線を転じる。
「……自分達が何をやろうとしてるのか、理解してるんでしょうね?」
「やだなぁお姉さん、ちょっとした検問ですよ。すぐに終わりますから不安にならないで」ニコニコと応じるツバキ。「こっちは禁書かどうか確認できればそれで済むんで」
「はぁー……」ルガディン族の女は深々と溜め息を落とすと、「参ったな、まさかこんな早く悟られるなんて想定外だ」
ツバキが意識を戦闘にシフトする前に、その体は宙を舞っていた。
双剣を抜きながら着地するも、胸を襲った強打の一撃に、思わず小さく喀血してしまう。あまりにも重い一撃に、口唇から漏れる鮮血を乱暴に拭いながら、笑みが浮かんでくる。
「なんてこっただよ、まさかいきなり大当たりを引くなんて……!」
ツバキの視線の先で、ノーモーションで拳を振り切ったルガディン族の女は、「ふぅー……」と深々と呼気を落とすと、腰に佩いていた魔道書――浄天の書を構えて、酷薄な笑みを覗かせた。
「――逸ったね? ここには餌があまりにも溢れてる」
「“黒”って事で良いのよね?」即座に両手幻具を構えるユキ。「どれぐらい手加減したら良いの?」
「取り敢えずまぁ……死なない程度にお願いします」思わず苦笑を覗かせてしまうツバキ。「浄天の書は新品で回収したいって事なので、そっちに気を遣って欲しいかな」
「無茶言うわね!」魔力を込め、体内のエーテルを循環させるユキ。「輝き爆ぜろ! グレア!」
ルガディン族の女が、その詠唱速度の速さに目を瞠った瞬間、真昼間のオシュオン大橋を、光の暴力が駆け抜けた。
光の奔流が駆け抜けた後、皆の視界にルガディン族の女が映り込む。光輝の爆発に巻き込まれた彼女は一撃で動けない程に損耗している事が分かった。
「はい、それ以上抵抗しないでね」
起き上がろうとしたルガディン族の女の首筋に双剣の白刃を添えるツバキ。その刹那、ルガディン族の女は呆けた顔をして、次の瞬間には泣き顔になった。
「え? え? わ、わたし……わたし……」
「……? 何か様子がおかしい……?」
「――ツ、ツバキさん! 浄天の書が……!」
ミリの焦燥に駆られた声に振り返った瞬間、何かが高速で耳元を擦過し、尻餅を着いてしまうツバキ。
何が――? と思って振り返った先には、魔道書――浄天の書がパタパタと飛んでいる光景が視界に飛び込んできた。
「くそ! くそ! まさか吾輩がここまで追い込まれるとは……! 何なんだあのメスヒト共は!」
パタパタと空高くを飛んでいる浄天の書を見つめながら、ツバキは頭が痛くなる想いで溜め息を零す。
「おいおいおい……禁書どころか、意志を持ってるぞあの魔道書……魔物って先に伝えておいて欲しいなぁもう……!」
「ねぇ、ツバキ。アレを生け捕りにしろって依頼なんだっけ?」上空を舞う魔道書を見守りながら、両手幻具を構えたままのユキ。「アレにグレアは……」「一撃で蒸発しないそれ??」「……ダメよねぇ……」「ダメだねぇ……」ツバキと一緒に溜め息を落とす。
「くそ! くそ! 何なんだ! 吾輩を格下に見ているかのようなあの態度! 言葉遣い! 度し難いにも程が有る!」パタパタと虫のように飛んでいる魔道書――浄天の書は、突然禍々しく輝き始めた。「恐れ畏敬の念で平伏すが良い! 来たれ我が淵に沈みし妖異共よ!」
漆黒の雷がオシュオン大橋のそこここに飛来し、その雷の飛来地から続々と妖異――インプやガーゴイルが湧き出してきた。
「ひゃあー! こ、ここ、これ、何とかなるんですよね!?」
ミリの陰に隠れて見守っていたウイが悲鳴を上げる。ミリはそんなウイを庇うように妖異の前に立ちはだかり、「わたしのそばを、離れないでください……!」と、鋭く妖異を睨み据えた。
「ツトミちゃん、避難誘導お願いできる?」「任せてー、みんな~! ツトミちゃんについておいで~! 悪いようにはしないからさ~! へっへっへー!」「言い方に気を付けて!」
ツトミが周囲の人間の避難誘導を始めたのを確認して、ツバキは双剣を構えて、ユキは両手幻具を構えて、互いに背中合わせて妖異を睨み据える。
「浄天の書じゃないから、ぶっ飛ばして良いのよね?」「今度は手加減要らないから、存分にぶっ飛ばしちゃって良いよ!」「オッケー! だったら思いっきりやらせて貰おうじゃない!」
「援護は、任せてください……!」二人を遠巻きに見ながら投擲武器を構えるミリ。「来ます……!」
「さぁ妖異共よ、食い散らかせ! 我が覇道はここで終わる訳にはいかんのだ!」
浄天の書の高らかな宣言により、妖異が一斉に襲い掛かる。
オシュオン大橋で大立ち回りが始まった。
約12時間振りの最新話更新です。今までで最速まで有るかも知れませんw
科捜研の女とかってあんまり見た事無いままで、こういう事をしてるんだろうなってイメージでウイちゃんのシーンを綴っておりましたw 錬金術師のジョブクエストをしてると突然錬金薬を使って捜査が始まったりするの好きでしたw
めちゃんこ長いエピソードになる予定が、何かあっと言う間に終着しそうで、相変わらず予定の立て方がガバガバでダメですw ウイちゃんもっと活躍させたいですが果たしてー!
と言った所で今回はこの辺で! ここまでお読み頂き有り難う御座いました!
更新お疲れ様ですvv
返信削除まさに光の奔流wあまりの投稿ペースに提督もご満悦の表情を浮かべられております!
乱戦模様を呈しておりますが、力こそパワーな感じなので心配はないかなぁwむしろ浄天の書さんのメンタルが心配です。
じゅ……錬金術師のウイちゃん結構鍵を握ってる感じですかねw
これから大活躍してくれるはずです!何と言っても、じゅ……錬金術師ですからね!!
今回も楽しませていただきました!
次回も楽しみにしてますよーv
>とみちゃん
削除感想コメント有り難う御座います~!(´▽`*)
まさに光の奔流www提督ヤッター!wwwww(笑)
それwww力こそパワーな感じを察してくれてる通り、あんまり心配しない感じですよねこれwww浄天の書さんの方が心配されててめちゃ笑うwwwwwwwww(笑)
じゅ……錬金術師のウイちゃん、鍵を握ってるのかどうか、ぜひ最後まで見届けて頂けたらと思います!(´▽`*)w
じゅ……錬金術師ですからね!wwww(笑)
今回もお楽しみ頂けたようで嬉しいです~!
次回もぜひぜひお楽しみに~!(´▽`*)